第112章 おばさん、誰ですか?

「どういうつもり?」

 山田悠子の顔から笑みが消え、能面のような無表情が福田祐衣を射抜いた。

 福田祐衣は伏し目がちに笑みをこぼし、何気ない仕草で袖口を撫でる。その声は平坦だが、底冷えするような響きを孕んでいた。

「山田悠子、あなたの魂胆なんてお見通しよ」

「かつて井上家の資金繰りに行き詰まった時、あなたは雲行きが怪しいと見るや、即座に井上颯人を捨てて海外へ逃げた」

「その後、井上家が危機を脱すると、今度は海外から舞い戻ってきて井上颯人に取り入った。そして今、井上颯人と井上家が再び破産の淵に立たされている。……あなたが何をしようとしているか、私には痛いほどわかるわ」

 福田祐衣の...

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